2004年 04月 29日

「女の一生」 CD "Strange Weather" by Marianne Faithful

a0011442_212520.jpg最近読んだ本の中にちらっと出てきた人物が彼女を連想させたので、久々にマリアンヌ・フェイスフルのCDを引っぱり出して、長距離移動中の車の中で聴いた。聴き始めたら、エンドレスで止められないくらい感動した。ので、ちょっと紹介。

マリアンヌ・フェイスフルは60年代に清純派アイドルとしてイギリスで一世を風靡したのち、ミック・ジャガーとのスキャンダル、ドラッグ中毒etc…を経て、一度は場末のクラブ歌手にまで転落。かつての美少女お嬢様ファルセットヴォイスは、老婆のようなしわがれ声に変わってしまった。彼女の波乱の人生の詳細は色々と書かれているので他に譲りますが、「堕ちたアイドル」として記憶の彼方に押しやられていた彼女が、再び音楽シーンにカムバックしたのが70年代の終わり。

キーワードのようにくり返し耳に残ることばがStrange/Stranger。
どんよりと垂れ込める雲のように全編を支配する、憂鬱、倦怠、退廃、悔恨、感傷etcのムード、その切れ目から時々差し込む朝の光のように清冽な音のきらめき。このアルバムの構成そのものが strange weatherのよう。(でも音楽に楽しさを求める人にはちょっと辛い音楽かもしれませんね。好き嫌いは多分まっぷたつに。)

トム・ウェイツ作の表題曲を始め古今の様々な楽曲をカバーしているが、その中に何気なく出てくる単語のひとつひとつが、彼女の人生そのものの波乱と過去を連想させ、聴く側のイマジネーションをかき立てる。(悲しみが深いほど傷口が痛いほど、影は更に暗く光は更に輝きを増す。歌手っていうのは公衆の面前で公開火刑に処される魔女みたいなもんかもしれませんね。エディット・ピアフ、ビリー・ホリディ、ジャニス・ジョプリンしかり。まさにブルーズ!)

ミック&キースがマリアンヌのために作った名曲「As Tears Go By」のセルフカバーは、20年前と同じように美しくて切ない。でも一まわり地獄巡りをして彼女が戻って来た同じ場所から見える風景は、もっと慈愛に満ちてもっと遠くまで見渡せるに違いない。
そこからつながるラスト曲の「A Stranger On Earth」の、どうしようもないアウトサイダー感。しかしサウンドは果てしなく優しく、遠くに救いが見える。
泣きたくなるほど胸をかき乱されます。
おお、マリアンヌ様、私はあなたを抱きしめたい!
1987年Island Recordsより発表。名盤!
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by chiori66 | 2004-04-29 21:19 | 今日の1枚


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