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2005年 07月 29日

ここにいる時間は永遠ではない。

訃報続きになるが、インテリアデザイナーの黒川勉さんが亡くなられたと知り驚いた。
まだ43才である。亡くなる年齢ではない。
個人的には何の面識もなく作品もよく存じあげていた訳でもないが、
どこかしらその生き方が気になる存在ではあった。




黒川さんは90年代の始め頃から、相棒・片山正通さんとH.Design Associatesというデザインチームで活動していた。今の流行りの「若手デザインユニット」の先駆け的存在として、デザイン専門誌以外の一般誌にもちょくちょく取り上げられ、同世代の中で5馬身くらいリードの活躍ぶりという印象だった。つまり、イケていた。そんな感じだった。

雑誌などの写真で見ると、片山さんの「不敵なおにいちゃん」という雰囲気と好対照に、黒川さんは「ちょっとシャイでやさしそうな人」に映った。なかなかいいコンビという風だった。
私より年齢的には上だが、ほぼ同じ世代。若いうちからもの怖じせず、自分たちのデザインをどんどん世に出していくH.Designの勢いは、自分とは違うスタイルのデザインとはいえ、ちょっと眩しくちょっと悔しく…いや、内心かなり焦らされたものだ。

その後H.Designは解散しそれぞれ別々の活躍している様子は、これまたジャーナルを通じて知る。

その後の黒川さんのお仕事ぶりを時々雑誌などで垣間見るにつけ、若い頃のアッパーな季節を通り抜けて、きっとこれから年と共にじっくり地に足のついたいいデザインをしていく方なのかな、とぼんやり思っていた。これからまたガーンとがんばってくれそうな人。
ひょっとして、実は真面目であまり器用な人ではないのかもしれない…(いい意味で)なんて、無責任で失礼な他人の思い込みは良くないとは知りつつ、その勝手なイメージにどこかシンパシーを感じていた気がする。同じ世代としてちょっと心強いような。
だから、この訃報はちょっと切ない。やるせない。

さて、
のんべんだらりと生きて来て、ただ忙しさにかまけて目の前を流れるようにデザインをする。
そういう今の自分に「代表作」と呼べるものがあるのだろうか。
今死んでしまったら何が残るんだろう…と思う瞬間が時々ある。
その時その時真剣に取り組んではいるし、いつも今が(あるいは次が)代表作であるようなつもりでデザインしているのだけれど、多分なにかが違うのだ。なにか、そこに加わる見えない力のようなものが。
「代表作」なんて作ろうと思って戦略的にできるものではないし、作っている時にはそんなことを悠長に考えている余裕なんてないわけだけど。
そもそもそんな不純で余計なことを考えている時点で(たとえば今)、かなりずれているわけだけど。

仮に表現することが何かを残したいという無意識の衝動に突き動かされているだけの自律的な行為であったとしても、世界に対するささやかなマーキング以上の何かを残したい、できうることならそれは人に喜びや感動を与えるものでありたいと思う。
そういうものが、生きている間にできるのかな?

いずれにしても人生は短い。
だらだらぐだぐだと日々を過ごしているうちに、あっというまに終わってしまう。
いや、まだまだある、と思っているうちに、突然終わってしまうかもしれない。
近い年齢の人の死に接するにつけ、「ちゃんと生きろよ」となにかを突きつけられているような気になる。
ちんたらやっている、ゆるい自分に。

ご冥福お祈りします。
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by chiori66 | 2005-07-29 20:56 | つれづれ日々の泡


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