2006年 01月 13日

萌え〜のおけいこ

うちのマダム(68才・未亡人)に、折々に日本語を教えている。

人間、年齢と供に俳句の歳時記に載ってるような渋い日本語や、政治家が使う一体どこから引っぱって来たのか分からないような漢文の一節みたいな立派なボキャブラリー(=すなわち教養ってゆーか)が増えていく。
…みたいに思うけど、必ずしもそうとも限らない。

現代を生きる高齢者たるもの、現代用語のひとつもたしなまなければ。
だってさ、「流行語や新語を使う」っていうことは明らかにワクワク楽しいことなんだから。車の運転みたいに、言葉をオペレーションする快感って絶対ある。思い通りにピタッと言い当てる爽快感とか。
(テレビに出てくる世のジジィらが ”ほりえもん”って言う時、なんとなく嬉しそうだったりするでしょ?)

そのためには日々たゆまずシステムをアップデートしなくては…!
という理念のもと、せっせとマダムを教育しているのである。



私は小学生の頃からわりと国語が得意で、なかでも言葉の意味を説明するような試験の設問が大好きだった。「『かなしい』と『ものがなしい』の違いを述べよ」みたいなやつ。
微妙なニュアンスを飴でもなめるようにだらだらと賞味するのがたのしい。

微妙なニュアンスといえば、マダムに『イッちゃってる/キてる』の用法を教えたときは、なかなかチャレンジングであった。この違い、ニュアンスすぎて説明ができないのである。
イッちゃってるのもキてるのも、「常軌を逸した印象の人(や物)」を差すのは一緒だが、その精神のあり様の違いというか狂気の質が『行く/来る』という反対のベクトルで表現されているというのがおもしろい。

こういう説明の難しいものは事例・用法から感じ取ってもらうしかない。
そうだなぁ、イッちゃってる人は林家三平で、キてる人は横山やすしである。
前者は藤谷美和子で、後者は杉田かおる。
ゴッホはどっちなのかビミョー。いや、案外まともかな。
あ、智恵子抄のチエコはほんとにイっちゃってたけど、麗子像のレイコはキてる…顔が。
…ま、どうでもいいんだけど(笑)。

まったく私がやや呆れ気味に感心してしまうのがマダムの学習能力の妙な高さだ。  
彼女は一昨年にiMac(首が伸びるやつ)をゲットしてからインターネットを始め、わりとチェックしている様子なのがYahooの経済系の掲示板だ。
特にライブドア騒ぎの頃はライブドア株の掲示板を「この人たちはんかくさい(※北海道弁で「アホだ」の意)」などとつぶやきつつ熱心に読んでいた。(いわゆる「ハマった」ってやつだな)

その頃、彼女のボキャブラリーに確実に追加された言葉が次の二つ。

「そうなんでつ」
「激しく同意」

ううむ…「逝ってよし」とか言わないだけまだいいか…。
奥さん、2ちゃんねる語で話すのおやめなさいってば!>68才未亡人


このお正月にテレビでNHKの「英語でしゃべらナイト」を一緒に見ていた。で話題は秋葉原。
おたく文化のメッカをディープに取材。カメラは話題の「メイドカフェ」に。

あ、そうだ!もうこの言葉解禁だわ。流行語大賞も取ったくらいだし。
さっそく練習練習。

私「マダム、『萌え』って知ってる?」
マダム「それなにさ」

…ということで急遽、萌え講座。

でも根っこから教えるとなると結構めんどくさいからなぁ。
超かいつまんで、しかもマダムの知ってる事例で説明するなら、
広末涼子には萌えるが、米倉涼子には萌えないって感じかなぁ?
(多分「ゆうこりん」は知らなそうだから)

「じゃ、○○さん(知合い)は萌えのタイプかい?」
と、それなりに理解した様子。マダム、なかなか筋がいいわよ。

私 「じゃ『萌え〜』って言ってごらん」
マダム「萌えー?」
私 「いやそうじゃなくて、『萌え〜♡』」
マダム「萌え〜〜♡」

うまいっ!そうそう、それよそれよ!
気分はほとんど「ウォ〜〜」ってヘレンが叫んだときのサリバン先生。

「萌え〜♡」
「萌え〜〜♡」

というわけで近頃のマダムったら、私が調教師よろしく「ハイ、どうぞ!」と水を向けると、
「萌え〜〜♡」とやってくれます。

…なんなんだよ、この親子。
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by chiori66 | 2006-01-13 01:09 | 気になることば


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